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「ねぇ純ちゃん、せっかく来てくれたんだし、良かったら家でお昼食べて行かない?そんな大したものは出せないんだけど」
「え…いいんですか?」
「何か食べれないものとかある?」
「あ…大丈夫です、何でも…」
「揚げ物以外にして。俺、今日は揚げ物の気分じゃないから」
絶対『何でも大丈夫です』って返すだろうと思ったから、敢えて純と母の会話の間に割り込んだ。
「あのねぇ、あんたの今日の気分なんか聞いてないんだけど」
「じゃあ飯出来たら呼んで。俺ら上に行ってるから。純、こっち」
「あ…はいっ!」
階段を上ると後ろから彼女はパタパタと足音を鳴らして付いて来た。
彼女を連れて入ったのは、俺が社会人になるまで生活していた自分の寝室。
今でもたまに実家に帰って泊まる事があるからか、部屋の中はあの頃のままで何も変わっていない。
本当に何もない寝室だけど、あのままリビングに居続けるよりはこっちの方がマシだと俺なりに判断した。
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