ラインを越える、一歩手前-2

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「それに、留守のときに勝手にお邪魔するわけだし…」     「そんなの気にしなくていいって。…ていうか、俺が呼んだんだから。ブルー達に会ってほしかったし」 「うん、楽しみ!吠えられるかな」 「あー、初対面の人には結構吠えるかも。でも噛みついたりしないから、すぐに慣れるよ」 家に着くまでの間は、ブルー、キラ、メメの三匹の違いについて説明した。 三匹とも同じ犬種だから、初めて会う人にとっては見分けがつかないかもしれないから。 「やっぱり同じ犬種でも、目とか鼻とか違いが出るんだね」 「俺から見れば三匹とも全然顔違うからすぐにわかるんだけどね。…あ、家そこだよ」 駅から歩き続ける事15分。 ようやく『梶真』の表札が見えてきた。 今更だけど、自分が生まれ育った家を彼女に見せる日がこんなにも早く来るなんて。 自分から呼んだくせに、不思議な感覚がまとわりついた。 そして、真正面から家を目にしたとき。 彼女を迎えに行くために家を出たときと、明らかに変化した部分に気付いてしまった。 「あ」 「どうかしたの?」 「……帰ってきてる、かも」 玄関の隣の駐車スペースには、俺が乗ってきた車と、その横に両親が普段から乗っている車が駐車されていた。
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