ラインを越える、一歩手前-2

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昔から姉の幸は、長女なのをいい事に弟二人に対して威張りちらしてきた。 俺と新がちょっとでも幸の言う事に逆らえば、ドロップキックでも何でも平気で技を繰り出す。 まさに、暴君。 幸の優しいところなんて、見た事がないくらいだ。 しかも年々、その暴君ぶりは衰えるどころかパワーアップしている気がする。 仕事の都合で関西に転勤になってからは、会うのは年に二回ぐらいになって俺としては本当に嬉しかったのに。 ……なのに、何故。 「で?棗の隣にいる子は?誰?」 当然幸の目にも純の姿は映ったようで、いつものきつい口調で純に声をかけてきた。 「あぁ、この子は…」 「あー、わかった。新の彼女でしょ。せっかく来てくれたのに悪いけど、アイツ今バイトでいないから。出直してくれる?」 「……いや、違うって」 俺が隣にいるのに、俺の彼女だと全く思わないところがある意味凄い。 「は?違うって何が?」 「この子、俺のだから」 そう言うと幸は一瞬固まり、そしてアハハ…と声に出して笑った。
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