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「お母さーん。棗のヤツ、生意気に若い彼女連れてきたよ」
「え?棗が彼女?またそんな冗談言って。新の彼女じゃないの?」
リビングの奥からは、母と幸の会話が聞こえてくる。
ていうか俺ってそんなにモテないと思われてるんだろうか。
二人してさっきから新の彼女って……。
若干納得いかないまま、俺は純を連れてリビングに顔を出した。
するとやっとそこで母も俺の彼女だという話を信じたのか、さっきの幸と同じで目を丸くしていた。
「あー…、彼女、桐谷純、さん」
「は…初めまして!棗くんとお付き合いさせて頂いてます!よろしくお願いします!」
こんなに緊張させてしまって、本当に気の毒に思う。
でもそれと同時に、嬉しさがじわじわと込み上げてきている事も事実だった。
……家族に紹介するって、意外に悪くないかもしれない。
「あらあら…どうも初めまして。棗の母です。棗ったらこんな若くて可愛い子…ごめんなさいねビックリしちゃって。もう…連れて来るなら連れて来るって予め言ってくれれば良かったのに」
「それより何で幸が帰って来てんだよ」
「あら。朝家出るとき言わなかった?幸が帰って来るから駅まで迎えに行ってくるって」
「そんな事、一言も言ってなかったけど」
聞いてたら絶対連れて来なかったし。
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