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そして、待ちに待った温泉旅行当日。
テスト勉強の最中、何度も指折り数えて待ち望んでいたこの日がついにやって来てしまった。
意識しないようにしよう、と思ったらもうダメで。
どうやったって意識してしまう自分がいた。
それはもう、どうしようもなかった。
「純ー!棗くん来たよ」
「…っ、今行くっ!」
何日も前から用意していたお泊まりの荷物を手に持ち、全身を鏡で上から下まで再度チェックしてから部屋を出て1階まで一気に駆け降りた。
すると玄関先で、和やかに会話を交わす棗くんとママの姿が目に映った。
「お…おはよう棗くん!」
「おはよ」
ど、どうしよう。
いつもカッコ良いけど、今日はいつもの数倍キラキラして見えるのは何故?
「荷物、車まで運ぶから」
そう言って、荷物を渡すようにと、私に手を差し出してくる棗くん。
こういう細かな気配りがサラッと出来てしまうところも、好き。
「大丈夫だよっこれくらい自分で持てるから…」
遠慮してそう口にした瞬間、私の荷物は軽々と持ち上げられてしまった。
後ろから現れた、パパの手によって。
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