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それにこうやって顔を向き合わせていた方が、どんなときでもキス出来るし。
「……棗くん」
「何?」
「一つだけ…変な事聞いてもいい?」
「いいよ」
これは、彼女がよく使う口癖の中の一つ。
変な事聞いてもいい?の後に続く言葉は、大体がいつも本当に変な事ばかりだ。
「……棗くん、今までの彼女と一緒にお風呂に入った事は…」
「ないよ一度も」
即答。
別にわざわざ焦らして言うような事でもない。
そもそも、風呂なんて一人で入るものだと最初から思っているから。
友人とでさえ、あまり一緒に風呂に行くような事はしない。
でも、彼女だけは特別で。
今のこのシチュエーションには、堪らなく幸せを感じている。
「一度もないの?……本当に?」
「こんな事でわざわざ嘘なんかつかないから」
「……ふぅん。わかった。信じてあげる」
何だよその、納得いってない感丸出しの『ふぅん』は。
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