何があっても、君の傍にいるから

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「………」 ベッドのサイドテーブルに置いてある時計に目をやった。 時間は午前六時。 多分、眠ったのはほんの二~三時間だろう。 普通なら、二度寝してしまいたくなるような感覚だけど。 今日は二度寝なんかする気にはなれなかった。 二度寝するくらいなら、隣で眠るこの小動物のような彼女の寝顔を見ていたい。 俺の気なんか知らずに、気持ち良さそうに眠るあどけない寝顔。 スースー…と規則的に聞こえてくる寝息が耳に入ってきて、それが妙に心地よかった。 布団を少しだけめくると、彼女の白くて滑らかな肌に視線が釘付けになる。 昨夜、初めて彼女を抱いた。 今まで生きてきた中で一番、幸せを感じた夜だった。 初めての痛みで僅かに歪んだ表情。 俺以外、誰も触れた事のない清らかな肌。 俺だけを真っ直ぐに映す純粋な瞳。 吐息と共に漏れる、素直な声。   その全てが、愛しくて仕方なくて。 優しくしようと心がけたつもりではあったけど、気持ちがやや先走ってしまった感は否めない。 でも、彼女とようやく結ばれた事で、この先もっと大切にしたい気持ちが芽生えた。 もちろん今までも大切にしてきたけれど、これからは今以上に。 大切にしようって、思った。
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