何があっても、君の傍にいるから

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「……くっついた方が、あったかい」 後ろから彼女の身体に手を回し、少し汗ばんだ耳元でわざと呟いた。 素直な彼女は、ビクンと一瞬反応して。 抵抗するのを諦めたのか、何も言わずに肩の力を抜いた。 後ろから抱き寄せたら、きっと猛烈に恥じらんでいるであろう顔が見えない不満はあるけど。 でもこの体勢も、悪くない。 彼女のへこんだお腹に手をやると、その手はすぐにギュッとつねられた。 「痛っ」 「お腹は触っちゃダメ!……最近体重増えてきて、ぷにぷになんだから」 「どこが。肉ないじゃん」 「もう…棗くん、全然わかってない。本当に痩せてる子はもっとぺたんとへこんでるんだから。だから私のお腹は…」 「じゃあ、こっちにする」 そう言ってさり気なく胸に手を移動させると、次は結構本気でその手を振りほどこうと抵抗し始めた。 「こ…こっちはお腹よりダメ!」 「あんたの方がよっぽど意地悪じゃん。昨日は何度も触らせてくれたくせに」 「……昨日は昨日。今日は今日です」 何でそこは素直になれないかな。 本当は触ってほしいくせに。
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