449人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ふーん。わかった。嫌ならやめる」
「え…」
そこで俺は、胸に触れていた手を惜しむ事なくスッと離した。
そしてくっついていた身体も少しずらして、敢えて距離を取ってみた。
「純粋に風呂を楽しむ事にするから。あんたもリラックスして入りな」
本当はこんなに近くにいたら、彼女の身体のどこかに触れていたい欲は出るけど。
あんまり攻めすぎて、本気で引かれてしまったらどうしようもない。
……浮かれんのは、この辺までにしておくか。
「今日、晴れたねずいぶん」
「……そうだね」
「帰る前にどこか寄りたい所あったら言って。ここ十時にチェックアウトだから、どこか寄って帰っても…」
雲一つない青空を見上げながら目を閉じて、一方的に彼女に話しかけていると。
ちゃぽん…とお湯が跳ねる音が聞こえ、それとほぼ同時に彼女が遠慮がちに俺の身体に寄り添ってきた。
「………」
「……やっぱり、くっついてもいい?」
その聞き方があまりにも可愛くて。
多分、俺の頬はだらしなく緩んだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!