生きる希望、生きる意味

12/24
前へ
/24ページ
次へ
もちろん初めての手術じゃない。 今まで三回の大きな手術を経験している。 でも、だからこそ、怖かった。 手術は何度も経験しているから慣れてる、なんて決して言えるものじゃない。 何度やっても、慣れない。 毎回、同じような恐怖に襲われる。 もしも目が覚めなかったら、どうしよう。 もしも手術が失敗してしまったら。 もしも……。 「純ちゃん、大丈夫?」 「…っ、うん。……大丈夫。手術したら、良くなるよねきっと」 「いきなり手術なんて聞かされて動揺するよね。でも今の息苦しさや胸の痛みは、この狭窄からきてると思うから。手術すれば、また今まで通り学校にも通えるし、棗くんともデート出来るようになるよ」 「……うん」 「一緒に頑張ろう、純ちゃん」 「……うん」 先生が私の事を本気で助けたいと思っている、その気持ちが伝わってきたから、不満なんか口に出せなかった。 私だって、わかってる。 手術をすれば、また体調は良くなる。 でも。 きっといつかまた、同じような症状がやってくる。 それが一年後か二年後か、五年後か十年後か。 いつになるかなんて、わからない。 ……わからないから、怖いんだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加