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もちろん初めての手術じゃない。
今まで三回の大きな手術を経験している。
でも、だからこそ、怖かった。
手術は何度も経験しているから慣れてる、なんて決して言えるものじゃない。
何度やっても、慣れない。
毎回、同じような恐怖に襲われる。
もしも目が覚めなかったら、どうしよう。
もしも手術が失敗してしまったら。
もしも……。
「純ちゃん、大丈夫?」
「…っ、うん。……大丈夫。手術したら、良くなるよねきっと」
「いきなり手術なんて聞かされて動揺するよね。でも今の息苦しさや胸の痛みは、この狭窄からきてると思うから。手術すれば、また今まで通り学校にも通えるし、棗くんともデート出来るようになるよ」
「……うん」
「一緒に頑張ろう、純ちゃん」
「……うん」
先生が私の事を本気で助けたいと思っている、その気持ちが伝わってきたから、不満なんか口に出せなかった。
私だって、わかってる。
手術をすれば、また体調は良くなる。
でも。
きっといつかまた、同じような症状がやってくる。
それが一年後か二年後か、五年後か十年後か。
いつになるかなんて、わからない。
……わからないから、怖いんだ。
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