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手術の成功率は限りなく高い。
数字だけ見れば、怖いと思う事なんかないのかもしれない。
でもこうやって、病院のベッドで過ごす時間が長くなる度に、無性に悔しくなる。
誰も悪くない。
パパもママも悪くない。
私だって、悪くない。
この悔しさを、ぶつける相手がいない。
どうして私は病気を抱えて生まれてきてしまったの。
どうして神様は、私を選んだの?
病気なんか一度もなった事ない健康な人なんて大勢いるのに。
……どうして私は、その大勢の中の一人になれなかったんだろう。
「……先生」
「はい」
「……よろしくお願いします」
その日の夜。
いつものように仕事の後にお見舞いに来てくれた棗くんに、私は手術の事を伝えた。
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