419人が本棚に入れています
本棚に追加
「……先生はね、手術すればまたすぐ良くなるって。だから一緒に頑張ろうって。そう言ってくれたの」
「うん」
「でもね、良くなっても、またいつか悪くなるときがくるんだよ」
「………」
弱音は、一度口にしてしまったら止められなくなる。
次から次へと、言葉が紡ぎ出され溢れ出していく。
「あとどれくらい、同じ事を繰り返せばいいのかな」
嫌だって言ったって、
どうしようもない事。
「どうして私なのかな。……どうしてこんな病気を抱えて生まれてきちゃったのかな」
「純…」
「だって…時間を無駄にしてる人なんて、他にいくらでもいるよ!なのにどうしてその人達は病気じゃないの?どうして私ばっかり苦しまなくちゃいけないの?私、今が一番大事なときなのに、どうして…っ」
「純!」
気付けば、棗くんの大きな両手は私の体を抱きしめていた。
でも、言葉はもう止まらなかった。
「辛いよ」
受け止めなくちゃいけない現実が重くて。
「……もう、辛いよ、棗くん……」
本音だけが、零れていた。
最初のコメントを投稿しよう!