生きる希望、生きる意味

16/24
前へ
/24ページ
次へ
「……先生はね、手術すればまたすぐ良くなるって。だから一緒に頑張ろうって。そう言ってくれたの」 「うん」 「でもね、良くなっても、またいつか悪くなるときがくるんだよ」 「………」 弱音は、一度口にしてしまったら止められなくなる。 次から次へと、言葉が紡ぎ出され溢れ出していく。 「あとどれくらい、同じ事を繰り返せばいいのかな」 嫌だって言ったって、 どうしようもない事。 「どうして私なのかな。……どうしてこんな病気を抱えて生まれてきちゃったのかな」 「純…」 「だって…時間を無駄にしてる人なんて、他にいくらでもいるよ!なのにどうしてその人達は病気じゃないの?どうして私ばっかり苦しまなくちゃいけないの?私、今が一番大事なときなのに、どうして…っ」 「純!」 気付けば、棗くんの大きな両手は私の体を抱きしめていた。 でも、言葉はもう止まらなかった。 「辛いよ」 受け止めなくちゃいけない現実が重くて。 「……もう、辛いよ、棗くん……」 本音だけが、零れていた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加