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どうして、の後に続く言葉なんて何の意味も持たない。
どんなに嘆いたって、現実は変わらない。
こうやって不満を棗くんにぶつけたって、何も状況は変わらないのに。
「……他には?」
「……え…」
「もっと言ってよ。今まで溜め込んできたもの、吐き出していいから」
誰にも言えずに、溜め込んできた想い。
それは、外に吐き出すにはあまりにも醜すぎる感情で、自己中心的な思考。
「俺が何のためにいると思ってんの?もっと上手く利用しなよ」
「利用って…そんな…っ」
「あんたの苦しみとか、辛い気持ちとか。俺にもそういうものを背負わせてよ」
「……っ」
「苦しいとか、辛いとか。そういうの、0にする事は多分出来ないけど。……でも、二人で分け合えば、0に近付ける事は出来ると思う」
不器用な棗くんの言葉が、次々と胸に突き刺さっていく。
その言葉は、芯を捉えて突き刺さるのに、決して痛みは感じなくて。
……ただただ、優しく染み渡っていった。
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