419人が本棚に入れています
本棚に追加
私は必死で涙を隠しながら、棗くんの背中に回している手にギュッと力を込めた。
「……私ね、本当は凄く性格悪いの」
「へぇ。どの辺が?」
「……子供の頃から、コンプレックスの塊だった。他の子達みたいに外で走り回ったり、みんなと同じような遊びは出来なかったの。だから、周りの子達が羨ましくて仕方なかった。……それと同時に、人を妬む気持ちが強くなっていったの」
いつも元気に外を走り回って、毎日楽しそうに笑っている子を見れば、あの子も病気になっちゃえばいいのにって。
そんな酷い事を、願ってた。
「誰も私の気持ちなんてわからないんだって。だから、誰にも弱音なんか吐けなかった。勝手に卑屈になって、気持ちを溜め込む事に慣れていった。……あんなに仲良くしてくれてる未央や冬汰にでさえ、嫌な気持ちになった事もある。……何度も」
私が体調不良で倒れると、周りはみんな心配してくれた。
大丈夫?って。
でもその度に、その優しささえ心のどこかで疑うようになっていた。
「だって、結局は他人事でしょ?みんな、自分じゃないんだもん。……苦しいのは私で、みんなは苦しくないんだもん」
優しささえそんな風に思ってしまう自分が、本当は嫌で嫌で仕方ないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!