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自分の心が軽くなった、その事は本当に救われたけれど。
その裏で、棗くんの心が壊れそうなくらい重くなってしまっていたらどうしようって。
「重くなったよ」
「えっ…」
「でも、俺にとっては嬉しい重みだから。あんたは何も気にしないで」
「そんな…でも…っ」
「むしろ、気にされた方が迷惑」
「………」
そこまでハッキリと言われてしまったら、何も言えなくなる。
「俺、あんたの事、わかってるようでわかってなかった」
「え……」
その言葉を聞いて、私は思わず顔を上げた。
ずっと棗くんの胸に顔を預けながら話していたから、久し振りにちゃんと目が合った気がした。
棗くんは、ハ…と笑いながら指で私の頬に伝っている涙を拭ってくれた。
「この泣き顔も何度も見てるくせに、俺はあんたの苦しみがどれだけのものなのか、全然わかってなかったんだなって。……でも、今日やっとわかった気がした」
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