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入院すると、やっぱりその事実だけでどうしても気持ちが滅入ってしまう。
まだ本当に幼かった頃は、入院中泣いてばかりいてパパとママを困らせた。
小学校高学年くらいになってからは、困らせるような事はしなくなった。
ただ、必死に堪えていた。
高校生になってからは、取り繕う事を覚えた。
不安をどうにか押し殺して。
誰にも弱音なんか吐けなかった。
だから、いつの間にか自分でも気付かない内に、そんな悪い癖がついてしまっていた。
でも、今なら大丈夫。
棗くんには、ちゃんと言うって決めたから。
それに、棗くんは、きっとどんな私でも受け止めてくれるから。
「それより、今日は体調どう?」
「……うん。そこまで辛くはないけど、でも、やっぱり早く家に帰りたいかな」
病院のベッドは好きじゃない。
半ば強制的に、一人で考える時間が増えてしまうから。
考えなくてもいいような事ばかり考えてしまうから、好きじゃない。
「大丈夫。すぐに帰れるよ」
「……あ、でも、入院も悪い事ばっかりじゃないかも」
以前は、入院中の時間は苦痛しかなかった。
だけど今は、以前と決定的に変わった事がある。
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