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「あとね、棗くんは眠たいとき…」
「俺よりあんたの方がいろいろわかりやすいし」
「え?そんな事ないよ…」
棗くんを茶化して笑っていると、スッと棗くんの手が私の頬に伸びてきて。
……優しく、指先で頬を撫でた。
「………」
「ほら。赤くなった」
「え…」
「あんたは照れるとすぐ顔に出る」
「……っ」
やり返された、と思った。
その次の瞬間、棗くんの唇が近付いてきて。
あ、キスされる。
と、思って目を閉じたのに。
……閉じたのに、コンコン…と、ドアをノックする音が聞こえてきてしまった。
「は、はいっ!」
とりあえず返事をすると、近付いてきていた棗くんの顔は離れていって。
久しぶりのキスは、お預けになってしまった。
ドアが開いて入ってきたのは、蓮先生だった。
「純ちゃん…あ、ごめん。もしかして…邪魔したかな?」
多分先生は私の顔を見た瞬間に、タイミングが悪かった事を察したんだろう。
気まずそうに笑いながら、初対面の棗くんに声をかけた。
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