生きる希望、生きる意味

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「棗くん…だよね?純ちゃんの彼氏の」 「あ…はい。梶真といいます」 「純ちゃんの主治医の夏目です」 「……ナツメ?」 自然な振る舞いで、棗くんに握手の手を差し出した蓮先生。 その先生の名前を聞いて、一瞬固まる棗くん。 そっか。 先生の名字が夏目って、棗くんは知らないんだっけ。 「夏目蓮です」 「夏目…あ、そうですよね。名字ですよね」 「ハハッ、なかなかない偶然だよね。僕も純ちゃんから聞いたときはちょっと驚いたよ。君の話は純ちゃんから本当によく聞いてて…」 「せ、先生っ!」 慌てて『余計な事言わないで』とジェスチャーと表情で伝えると、先生はにっこり笑ってみせた。 「でも一度会ってみたいと思ってたから、今日は会えて良かったよ」 「僕も、一度会いたいと思ってたんで。いつも彼女がお世話になってますから」 「………」 『彼女がお世話になってます』 その響きが、妙に気恥ずかしくて、でも嬉しくて。 少し、こそばゆかった。
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