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「あ…あのね、先生はうちのパパとママと昔からの知り合いなの。だから昔から家族ぐるみの付き合いっていうか…本当に先生には凄くお世話になってるんだ」
「へぇ…そうなんだ」
「そうそう。僕は純ちゃんが生まれた頃から知ってるからね。だから、彼氏が出来たって聞いたときはちょっと寂しかったな。もちろん、うまくいってほしいとずっと思っていたけど」
蓮先生は、物心がついた頃から今までずっと、私の事を可愛がってくれた。
まるで、歳の離れた妹を可愛がるように。
いつだって優しい眼差しで私を見守ってくれていた。
パパとママ、冬汰と未央、そして棗くん。
私の周りにいてくれる人達は、本当に心が暖かい人ばかりで。
絶大な安心感がある。
だけど、病気という事に関して、自分が病気を抱えているんだとわかった頃から今日まで最も私の精神的な支えになってくれた人は。
……やっぱり私の病気を誰よりも理解してくれている、蓮先生かもしれない。
「昔は純ちゃん、大きくなったら僕と結婚するんだなんて言ってくれてたんだけどね」
「えっ!」
蓮先生からの突然の暴露に、誰よりも驚いたのは私だった。
チラリと棗くんに視線を移すと、棗くんはそれはもう何か言いたげな表情で私に冷ややかな視線を送った。
「……先生、それ本当に?私、そんな事言ったっけ」
「まぁ、忘れてても無理ないかな。あの頃純ちゃん、幼稚園入ったぐらいのときだったし」
ごめんなさい。
完全に忘れてます。
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