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「……ごめん。大丈夫だってずっとあんたに言い続けてたけどさ、本当は……俺も怖かったよ」
俺もこの先何度かまた同じような経験をすれば、部長のように心に余裕が出来るんだろうか。
今の俺には、無理だった。
「……凄い、怖かった。……もしもあんたに何かあったらどうしようって。……絶対に、失いたくないから」
こんな事口にしたら女々しいと思われるだろうから、絶対に聞かせられないけれど。
もしも、純が俺の目の前からいなくなったら。
俺はこの先、生きていけないかもしれないって、本気で思った。
何故なら、彼女が幸せそうに笑って生きている事が、俺の生きがいだから。
彼女のように、必死に追いかけて叶えたい夢なんか俺にはない。
でも、希望はある。
俺の、生きる希望。
それは、『桐谷純』という存在そのもの。
難しい事なんか何もしなくていい。
ただ、生きているだけでいい。
そして、欲を言うのなら。
「……一生、俺の傍にいてよ」
この先も、ずっと永遠に。
俺の隣で、あの弾けるような笑顔を見せ続けていてほしい。
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