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「あ、ママ?うん、うん、あのね…私、合格だったよ」
三月。
二月に行われた国家試験の結果が発表された。
結果は合格だった。
結果を見て、すぐに棗くんにメールで報告した。
次にママに電話で伝えると、ママは電話の奥で泣いていた。
つい私ももらい泣きしそうになってしまって、必死に溢れてくる涙を我慢した。
ママとパパが、私の夢をどれだけ応援してきてくれたか、知っているから。
二人の気持ちが、いつも凄く伝わっていたから。
自分のために、夢を叶えたかった。
でも、ママとパパの気持ちにも応えたかったから。
私の夢が叶って、喜ぶママとパパの顔を見たかったから。
……だから、今日まで頑張ってこれたんだと思う。
「……ママ、本当に、ありがとう」
両親に愛されてるんだとわかっていながらも、心のどこかで劣等感を持って生きてきた。
自分は欠陥品なんだと思ってしまっていた。
でも、もうそんな風には思わない。
自分の夢を叶える、その事がどれだけ自分の自信になるのか。
生きていく糧になるのか。
やっと知る事が出来たから。
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