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私の夢は、看護師になって、病気で苦しんでいる人達を救うこと。
子供の頃、入院中ずっと心細くて塞ぎ込みがちだった私を優しい笑顔で救ってくれた看護師さんのように。
私も、患者さんの心に寄り添えるような看護師になりたい。
そしてもう一つ。
これは本当に、欲張り過ぎるって自分でもわかってはいるけれど。
いつか叶えたい、私の密かな夢。
それは、棗くんのお嫁さんになる事。
こんな一生治る事のない病気を抱えている私なんかが、そんな贅沢な事を願ったらいけないのかもしれない。
棗くんとの付き合いが深まれば深まるほど、ずっと一緒にいたいと思えば思うほど、本当に私が棗くんの傍にいてもいいのかなって不安になる事もあった。
だって私はきっと、棗くんより先に死んでしまうから。
でも。
あの日、手術が終わって目が覚めたとき。
棗くんは、泣いていた。
今までどんな事にも動じなかった棗くんが。
私の事を想って、泣いてくれていた。
あの涙を見た瞬間。
……そんな贅沢な夢が胸に刻み込まれてしまったんだ。
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