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今回もいつものように、冬汰にとってはどうでもいい私と棗くんの小さなケンカの話をしていると。
冬汰は肘をテーブルにつきながら、いつになく柔らかい笑みを浮かべていた。
「……何で笑ってるの?ちょっと不気味なんだけど」
「は?不気味とか失礼じゃね?」
「だって私、笑うような話なんてしてないし」
「俺はただ、お前が…っ」
何故か冬汰はそんな中途半端なところで言葉を止めてしまった。
「お前が、何?」
「……」
「気になる。言ってよ」
どうしても気になったからしつこく問い詰めると、冬汰は観念したのか、はぁ…と溜め息混じりに呟いた。
「……お前が幸せそうだから。……嬉しいっていうか、良かったっていうか、安心したっていうか」
「え、だから笑っちゃったの?」
「そ。ほら、俺はお前の保護者みたいなもんだから」
親友であり、兄弟であり、保護者でもある。
そうやって考えると、冬汰ってやっぱり凄いな。
私が棗くんと運命の出会いを果たしたときのように。
いつか冬汰にも、そんな瞬間が訪れるといいな。
……でも冬汰に大切な人が出来てしまったら、私は間違いなく寂しさを感じてしまうんだろうけど。
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