その恋は、Destiny

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『多分定時で上がれる。会社出たら連絡するから、どこか適当な場所で待ってて』 冬汰と未央とランチしてる最中に届いた、棗くんからの漠然としたメッセージ。 こういう内容、実は一番困ったりする。 定時で上がれるという事は18時くらいには会社を出れるという意味なんだろうけど、困るのはその後。 どこか適当な場所って、例えばどこなんだろう。 思いつく限りでは、カフェとか本屋とか駅とか。 メッセージを読み、そのまま未央と冬汰に意見を求めると。 未央はボロネーゼのパスタを頬張りながら当たり前のように「棗くんの会社まで行っちゃえばいいじゃん」と口にした。 「会社!?ムリムリムリ!私みたいなのが中に入ろうとしたら絶対止められるに決まって…」 「中に入れるわけないでしょ。会社の外で棗くんの事待ち伏せすればいいじゃん」 「……」 待ち伏せ。 その手があったか。 「会社出て純がいたら、棗くん絶対喜ぶって」 私の頭の中では、私を見つけて嬉しそうに駆け寄ってくる棗くんが完全にイメージされていて。 未央にまんまと乗せられた私は、棗くんの仕事が終わる時間を狙って、棗くんの会社のすぐ傍までやって来た。
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