その恋は、Destiny

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「……っ」 声を掛けようと一歩足を踏み出したものの、二歩目を踏み出す事は出来なかった。 棗くん一人なら何も気にせず出ていけたけど、会社の人達と一緒にいるところに堂々と乱入するなんてさすがに私には出来そうにない。 でもどうしよう。 このまま棗くんが駅の方に向かってしまったら、すれ違いになってしまうかもしれない。 「……」 棗くんが関さん以外の会社の人と一緒にいるとこ、初めて見た。 三年も付き合っているのに、初めて。 何か、私と二人でいるときとはちょっと違う顔してる。 それに。 棗くんの隣にいる人、笑顔が凄く可愛い。 どことなく、雰囲気が綾乃さんに似ている気がする。 同じ会社の女性でこんなに可愛い人がいるなんて…あんまり知りたくなかったな。 ……やっぱりこんな所までのこのこ来なければ良かった。 棗くんより先に駅の方に向かって、おとなしく連絡が来るのを待とう。 そう決心しながら、棗くんの姿を少し離れた場所から目で追っていたとき。 偶然、棗くんの視線と私の視線がぶつかった。 ……見つかっちゃった、かな。
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