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私が一人舞い上がっていると、綾乃さんに雰囲気が似た女性がニヤニヤ笑いながら私の顔を見つめてきた。
「へぇ~この子が梶真くんを夢中にさせちゃってる彼女か」
「…何ですか俺を夢中にさせちゃってるって」
「え?だって関くん言ってたよ、梶真くんは年下の彼女と付き合い始めてから人格が変わったかのように優しくなったって」
「は?何ですかそれ」
「またまた照れちゃって」
軽妙なテンポで繰り広げられる会話を聞きながら、この女性と棗くんの関係を頭の中で勝手に想像してみた。
棗くんをからかうような口調。
棗くんが使う敬語。
上司と部下…かな。
思っていたよりも仲が良さそうな気がする。
関さんの嘘つき。
社内の女性で棗くんと仲良い人なんかいないって言ってたのに。
……いるじゃん。
「ねぇねぇ彼女さん。二人ってどうやって知り合って…」
「じゃあ、お疲れ様でした」
「ちょっと!話勝手に中断しないでくれる?」
「お疲れ様でーす。行くよ純」
棗くんが強引に話を中断させて私の腕を掴み歩き出したから、私も慌てて棗くんの会社の人達にお辞儀をして背中を追った。
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