その恋は、Destiny

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「な…棗くん!いいの?会社の人達と一緒にいたのに…」 「別に乗ったエレベーターが同じだったから一緒に会社出てきただけだし」 「でも!あの人達みんな棗くんの上司なんじゃ…」 「いいんだよ。どうせみんな俺をからかいたいだけなんだから」 私の腕を掴んでいた棗くんの手は徐々にその力を緩めながら、次第に私の手へと温もりを移した。 外を歩くときは、必ずこうやって手を繋いでくれる。 たったそれだけの事に、私はいつも小さな幸せを感じるんだ。 手を繋ぐと、その間は心も繋がっている気がして。 凄くほっとする。 隣にいるんだって、実感出来る。 「……あの人、可愛かったね」 「あの人?…あぁ、秋本さんの事か。あの人最近結婚したんだけどさ、旦那が関と同じ部署にいるんだよね。だから関と結構繋がってて、いろいろ面倒くさい」 「へぇ…そうなんだ。……既婚者だったんだ」 それを知った途端に、芽生え始めていた嫉妬心が急速に萎んでいった。 私、一体いつになったら心に余裕が持てるようになるんだろう。
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