462人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな事より、ごめん。わざわざこっちの方まで来させちゃって」
「え…ううん!そんな棗くんが謝る事じゃないよ!むしろ、いつもと違う棗くんの顔見れて嬉しかったし!」
「……いつもと違う顔ってどんな顔?」
怪訝そうな表情で聞いてきた棗くんに、どう言えば伝わるか一瞬考えてみたけど。
会社の人達といるときの棗くんのあの表情を、言葉でどう表現すればいいのかわからなかった。
「うーん…何かうまくいえないんだけどね、いつもよりもピリッとしてたっていうか、シャキッとしてたっていうか…私と二人でいるときの顔とは少し違ったっていうか……」
曖昧すぎるその表現なら絶対に伝わらないと思っていたけれど、意外にも棗くんは曖昧な表現の中身を理解してくれた。
「あぁ、それはそうだろ。あんたといるときは仕事モードにならないし」
「仕事モード?」
「会社の人達といるときは、それなりに気張ってるから」
そっか。
まだ社会人になってないからわからなかったけど。
表情にも、仕事モードとオフモードがあるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!