その恋は、Destiny

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「そんな事より、ごめん。わざわざこっちの方まで来させちゃって」 「え…ううん!そんな棗くんが謝る事じゃないよ!むしろ、いつもと違う棗くんの顔見れて嬉しかったし!」 「……いつもと違う顔ってどんな顔?」 怪訝そうな表情で聞いてきた棗くんに、どう言えば伝わるか一瞬考えてみたけど。 会社の人達といるときの棗くんのあの表情を、言葉でどう表現すればいいのかわからなかった。 「うーん…何かうまくいえないんだけどね、いつもよりもピリッとしてたっていうか、シャキッとしてたっていうか…私と二人でいるときの顔とは少し違ったっていうか……」 曖昧すぎるその表現なら絶対に伝わらないと思っていたけれど、意外にも棗くんは曖昧な表現の中身を理解してくれた。 「あぁ、それはそうだろ。あんたといるときは仕事モードにならないし」      「仕事モード?」 「会社の人達といるときは、それなりに気張ってるから」 そっか。 まだ社会人になってないからわからなかったけど。 表情にも、仕事モードとオフモードがあるんだ。
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