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「純ちゃん、いま梶真に見とれてたでしょ」
「べ…別に見とれてたわけじゃ…!」
棗くんの事を考えていたのは本当だけど。
「そんな今更否定しなくてもいいって。相変わらずラブラブだね梶真と純ちゃんは」
あの手術の日から、私の体調は見違える程に回復していった。
とはいっても完治する事はないから、激しい運動は出来ないし食生活も今まで同様気をつけていかなければならない。
それでも、体は軽かった。
心の負担も軽くなった。
突発的に起きる発作も、だいぶ減少した。
私は手術前の頃よりも、勉強に励んだ。
棗くんと会う時間は私にとって唯一の癒やしの時間だから、その時間だけは削らなかった。
手術から一年が過ぎ、私は看護学校の三年目を迎えていた。
ここ最近は就職活動で忙しくて、なかなか棗くんとゆっくり過ごす時間が取れずにいた。
体力的に夜勤は避けた方がいいと蓮先生からの助言を受け、クリニックを中心に面接を受ける日々。
今は看護師はどこも人手不足だから就職活動はそう難しいものじゃないと学校の先生から言われていたけれど、私の就職活動は決して順調といえるものではなかった。
だけど、ちょうど今日。
やっと就職の内定が決まった。
内定先は都内の小児科クリニック。
内定の報告をするために棗くんに電話をかけたら、関さんと飲みに来てると言われて。
『今から、こっち来る?』
と、棗くんからお誘いを受けた私は『行く』と即答して、いつも棗くんと関さんが飲みに来てる居酒屋にのこのことやってきたんだ。
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