エピローグ

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「……変じゃないよ。病気で苦しくても、笑いたいときは笑っていいんだよ。でもその代わり。……泣きたいときは、思いっきり泣いていいんだからね」 「………」 「大丈夫。玲央くんは、一人じゃないんだから。入院も手術も、大丈夫。玲央くんなら、絶対に乗り越えられるよ」 それまで黙って私の話を聞いていた玲央くんの表情が、一気に歪んだ。 そして、大粒の涙がポロポロと零れ落ちていった。 玲央くんは、こんなに小さな体で必死に耐えていたんだ。 病気という未知の不安を目の前にしながら、必死に。 ……それはまるで、昔の自分を見ているようだった。 「……本当に…っ、ぼく、大丈夫かな…っ」 「うん。私が保証するよ」 『大丈夫』 その言葉にどれほどの力をもらえるか、私は知っている。 不安に押しつぶされそうなときこそ、その言葉の有り難みが余計に身に染みるんだ。 「玲央くん、知ってる?神様はね、乗り越えられない試練は与えないんだよ」 きっと、何度も壁にぶつかると思う。 乗り越えられなさそうなくらい、高い壁にぶつかる事もあると思う。 それでも、必死にぶつかっていけば。 諦めない意志を持っていれば。 道は必ず開けるから。
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