897人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「……変じゃないよ。病気で苦しくても、笑いたいときは笑っていいんだよ。でもその代わり。……泣きたいときは、思いっきり泣いていいんだからね」
「………」
「大丈夫。玲央くんは、一人じゃないんだから。入院も手術も、大丈夫。玲央くんなら、絶対に乗り越えられるよ」
それまで黙って私の話を聞いていた玲央くんの表情が、一気に歪んだ。
そして、大粒の涙がポロポロと零れ落ちていった。
玲央くんは、こんなに小さな体で必死に耐えていたんだ。
病気という未知の不安を目の前にしながら、必死に。
……それはまるで、昔の自分を見ているようだった。
「……本当に…っ、ぼく、大丈夫かな…っ」
「うん。私が保証するよ」
『大丈夫』
その言葉にどれほどの力をもらえるか、私は知っている。
不安に押しつぶされそうなときこそ、その言葉の有り難みが余計に身に染みるんだ。
「玲央くん、知ってる?神様はね、乗り越えられない試練は与えないんだよ」
きっと、何度も壁にぶつかると思う。
乗り越えられなさそうなくらい、高い壁にぶつかる事もあると思う。
それでも、必死にぶつかっていけば。
諦めない意志を持っていれば。
道は必ず開けるから。
最初のコメントを投稿しよう!