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「あれから5年後……、今日は葵の18才のお誕生日じゃん」
『誕生日』なんて、おめでたい言葉とは裏腹に、不安げな顔で大きな瞳を潤ませるオーちゃん。
井沢くんがオーちゃんに、そっと寄り添った。
「葵、体とか大丈夫?」
昨日、日記を読んでいて良かったわ。
いきなり、この二人に会っていたら、むっちゃ引いていたやろうなぁ。
「大丈夫やで、オーちゃん」
アタシは無駄に力こぶを作って見せた。
オーちゃんは、なんとはなく、疑いぶかい目でアタシを見た。
チラリと瑛太の事を思い出して、オーちゃんには後めたい気分になったけれど、それを誤魔化すかのように、二人の硬くつなぎ合う手を見つめながら尋ねた。
「ところで、オーちゃんと井沢くんって、そーいう仲やったん?」
「ええーっ!オーちゃん、俺たちのこと山崎に言ってなかったの?」
オーちゃんがバツの悪い顔をした。
「……実は中1の早いうちからだったの。言ってなくてゴメンね」
(あれ?今井くんのことが好きなんや無かったんや)
「謝らんといて。お互い、そういう話苦手やったし」
(アタシも石井王子のこと、言って無かったし)
「そう言ってくれて良かった。
ところで、葵は今井くんとは、そのー……」
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