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「葵ちゃん、今日こそは、引越し荷物の片付けしいや」 そんなこと言うけれど、学区内とは言え、大学入試も近いというのに引越しする方がおかしいわ。 片付かんの、あたりマエダのクラッカーや。 「母さん、葵に『ちゃん』は付けんといてって、何べん言うたらわかんの?アタシもうすぐ18才やで」 三人兄弟の末っ子だからか、いつまでたっても子供扱いで、嫌になるわ。 「18ゆうたら、お母さん、寮に入ってて、何でも一人でしとったわ。洗濯かって、自分でし……」 「わかった、わかった。仕事して仕送りもしててんなぁ。じゃあ、引越の荷物片付けに行くわ」 お母さんの苦労話は始まると長い。 アタシは、夕食の食器を台所へ運ぶと、あわてて自分の部屋に戻った。
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