4/6

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「ああ、この頃のか。石井くんのことばっかり書いてるわ」 五年前、中一の時に、父さんの急な転勤で、関西から前の家に引越しした。 知らん人ばっかりやったから、隣の席から、標準語でいっぱい話しかけてくれた石井くんは、当時、アタシの中では王子様だった。 「王子様言うても、石井くんの顔、今は忘れてもおたけど」 過去の自分を覗き見するみたいな微妙な気持ちで、記憶の彼方にすら無かった日記を読み始めた。 絶対、今日も荷物片付かへんわ。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加