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「ああ、この頃のか。石井くんのことばっかり書いてるわ」
五年前、中一の時に、父さんの急な転勤で、関西から前の家に引越しした。
知らん人ばっかりやったから、隣の席から、標準語でいっぱい話しかけてくれた石井くんは、当時、アタシの中では王子様だった。
「王子様言うても、石井くんの顔、今は忘れてもおたけど」
過去の自分を覗き見するみたいな微妙な気持ちで、記憶の彼方にすら無かった日記を読み始めた。
絶対、今日も荷物片付かへんわ。
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