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そしてその犯人からは、私のたくさんの始めてを奪われてしまったし... 「はわあああああ...!!」 急に恥ずかしさが蘇ってしまった砂夜はマンションの部屋の前で跪いてしまう。 「...はは、入ろうか」 電子ロックの家の鍵を解除して玄関に入ろうとしたら、誰もいないはずの家に明かりが点いていた。 「嫌な予感しかしないんだけど...」 しかし砂夜の家があるマンションの玄関は完全に電子ロック式であり、住民が入るにもパスワードが必要で住民でない者が入る場合住民の許可が必要になる。 セキュリティで言えばかなり高スペックな代物だった。 「あ、砂夜が帰ってきた」 「え...?」 そこには白衣を着た金髪の少女であるミリーナがいた。 「久しぶりだね、三年ぶりぐらいかな?」 「え...ええええええ!?」 それは驚きを隠せない出来事であった。 三年前、あの公園で奇跡の出会いをしたミリーナが何故か砂夜の家に居座っていたのだから。 「何で!!何でミリーナがここに居るの!?」 「いや~、色々あって日本警察に協力することになってさ」 「ミリーナ、あまり警察のことを口外しないように」 二階の階段から珍しく総次郎が顔を覗かしていた。 「本当に久しぶりだね!!」 「ええ、あなたのお父さんが警視総監だってことは聞いていたけど、まさかこの家に泊まることになるとは思っていなかったわ」 「え、じゃあ日本にいる間はずっとここに?」 「そ、それはどうだろう...」 「やった~!!」 砂夜はミリーナの手を掴みさっそく自分の部屋に連れて行こうとした。 「砂夜、学校の宿題は済んだのか?」 「う...それは...」 「早く済ませるように」 「ならミリーナと...」 「宿題は自分の力でするものだ」 さすがは警視総監と呼べるほどの堅固な態度に砂夜も黙って自分の部屋に向かった。 「どうだ?ここは結構広いし砂夜もいる」 「ええ、とても充実していると思うわ」 「なら、日本に滞在している間はここに...」 「ねえ、何か隠しているの?」 総次郎の行動はミリーナからして不可解な行動をとっている様に見えた。 「あなたは随分と私をここに泊まらせようとする、それは何故?」 「...何故って、私は君のことを思って...」 「嘘だわ、あなたのその目は嘘をついている目をしている、心理学も博識程度まで理解しているから私の前で嘘をつくのは無駄よ」 ミリーナはわずかな目の動きの変化で彼が嘘をついていることを見破った。
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