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「か、上条翔介はどうしたの!?」
「...その爆発には巻き込まれなかったみたいだが、父を失った悲しみからかその後消息を絶ってしまった」
「...何よそれ、そんなの...」
消息を絶ってからすでに月日は相当経っている、既に無い命だと考えるのが妥当だった。
「しかし上条翔介が消息を絶った時、彼が在籍している椎倉高校B組では多数の殺人事件が相次いで起こっていた」
「殺人事件...!?」
「それも守川高校と同じ様に、クラス全員皆殺し」
守川高校の事件と同様に椎倉高校にも不可解な殺人事件が起こっていた。
そして上条翔介も間違いなくその事件に関わってしまったとミリーナは一瞬の思考で想像した。
「そんな、お兄ちゃんが...」
「彼の安否は想像に任せる、それ以上は何も言わないよ」
突如として知らされたその悲報は、あまりにも大きなものを失わされた気分だった。
「ごめん、お兄ちゃん...」
あなたがどれだけ辛かったか、どれだけ苦しい思いをしてきたのか分かり合えなかった...
「だから、この事件は必ず解決するよ」
それ以上は何も干渉せずに、ミリーナは車に戻ろうとした。
「もう良いのか?」
「ええ、それにこれ以上見てたら抑えられなくなりそうなの」
「...?」
「「今は、犯人が憎くて憎くて殺したい気持ちを抑えているから」」
____××
「っ...!?」
ミリーナの目は赤く輝いていた。
その目を見た総次郎は彼女の異様なオーラから恐怖すらも感じとれた。
「...そうか、なら帰るか」
車に乗り込みミリーナ達は上条家跡地を後にした。
「...ミリーナ・エリックを確認、どうやら義兄妹の死亡通知をきっかけに事件の捜査意欲がより一層強くなった模様です」
「「奴は厄介だ、しかし殺しはするな」」
「善処します」
「「他に彼女に何か変わった様子はあるか?」」
「彼女の目が赤く見えました、一瞬で角膜の色が変わったのでカラコンとも思われません」
「「ああ、例の『殺意の表れ』のことか、あれは誰もが持っている殺意が具現化したものだと聞く、くれぐれも注意するように」」
「了解」
そこで通信は途絶えてしまった。
「ミリーナ、君は真実に何処まで辿り着けるのか楽しみだ」
男は深夜の暗闇の中に姿を消した。
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