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「な、何だ!?」 操縦席の制御画面に『ERROR』の文字が浮かび上がり、ミリーナの不安を煽った。 「...!?」 「どうしたミリーナ!?」 「...前輪のタイヤが不具合を起こしているみたい」 「不具合だと!?どんな不具合なんだ?」 ミリーナの口から伝達されたその不具合とは、リチャード達の予想の斜め上をいく返答だった。 「前輪のタイヤは、90度横を向いて付けられている」 「何、だと...?」 通常飛行機の着陸時には正常な状態のタイヤでも150度近くタイヤ表面の温度が上がると言われている。 タイヤが90度横を向いたこの飛行機は着陸時にタイヤの急激な温度上昇で炎を上げて飛行機自体が爆発してしまう可能性があった。 「リチャード、管制塔に成田空港に緊急着陸すると伝えてくれ、それと消防の準備も頼む」 「分かった」 リチャードは成田空港の管制塔に通信して、緊急の着陸を要する事を伝えた。 「待ってくれ、本当に着陸するつもりなのか!?」 「どの道このままだと燃料が尽きてしまう」 副機長はあまりの無謀とも思える彼女達の行動にやめるように言いかけた。 「無謀だ、経験のない者が緊急着陸などできるわけがない!!」 「...あなた、本当にパイロットなの?」 「え?」 ミリーナは一度着陸態勢を止め高度を上げて操縦席から立ち上がった。 「ふざけないで!!乗客の命を背負なければならないのはあなたのはずよ!?こんな子供に全て託して大の大人が恥ずかしくないの!?」 「そ、そんなの、俺だって悔しいよ...でも腕が...」 「だったら大人しく私に全て任せないよ!!口だけで物事を語らないで!!」 それだけを言うと、ミリーナは再度操縦席に座り着陸態勢に入る。 「そこのCA、機内放送を繋いで頂戴」 「わ、分かったわ!!」 着陸準備で手が離せないミリーナに変わって人質にされていたCAが機内放送のボタンを押す。 「「乗客の皆さん、本機はトラブルにより緊急着陸の態勢に入ります、安心して座席に座りシートベルトを着用してください」」 「何だ?」 「緊急着陸だってよ、やっぱヤバいんじゃねーの?」 「てか、この声随分と子供っぽくないか?」 「本当に大丈夫なのかよ...」 ミリーナが直々に機内放送をしても乗客達の混乱は収まらなかった。
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