第十八話 本音

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 大間さんは「はい」と言って、ハンカチを受け取ろうとした。その手をハンカチで包む。 「お?」 「貸してくれたお礼。はい次は左」 「え? あ、はい」  包んだハンカチで手全体と、指の間を拭く。左手も同じように拭いた。 「……はい。ハンカチありがとうね」 「おお……」  大間さんはされるがままだったけど、戸惑ってるのが見て分かった。ハンカチから俺に目を移すと、何かに気づいた顔。 「ん?」  大間さんは手を上げ、ハンカチの角で俺の唇にちょんと触れた。 「ひび割れんぞ」 「あ……ありがと」  大間さんの唇だって濡れてた。でも、何も言えず目を逸らした。 「行こう」  ハンカチをポケットにしまって、歩き出す大間さん。賽銭箱の前で立ち止まる。俺も横へ並んだ。財布から五円玉を出し俺に「ある?」と五円玉を見せてくる。 「あっと……五円玉がいいの? 十円でもいい?」 「別にいいだろうけど、あるし。コレ使いなよ」  大間さんは長くて綺麗な指で、俺の手の平に五円玉を乗せた。 「……うん」 「神様との御縁だからね」  え? そういう事なんだ? ダジャレ?  納得していると、大間さんは「ふふ」と静かに笑って、もう一つ五円玉を出し、賽銭箱へポイと投げ入れた。コツンと跳ねて、下へ落ちる五円玉。俺も同じように投げ入れる。  目の前にぶら下がってる鈴の紐を持ったまま待機してた大間さんは、俺が五円玉を投げ入れると、縄をみたいな太さの紐を揺らし鈴がガラガラと鳴らした。それから軽く二回頭を下げ、パンパンと手を叩く。「ほおほお」と思いながら真似する。  横目で見ると、目を瞑って動かない大間さん。  しばらくして頭を持ち上げ、またお辞儀した。見よう見まねで俺もお辞儀。 ……終わったのかな?
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