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それから2時間弱後、辿り着いた砂漠の国の城下町は、恐ろしく静かで、人の気配を感じさせなかった。もしや、姫が脱走した事に勘付いて、国の人々全員を殺してしまったのだろうか?と不安を募らせながら唾液を飲み込み、馬車を歩かせる。
門の前で門番をしているはずの兵士だっていなかった。何かあったのだろう……。
軽く吹く熱い風を浴びながら、城下町の中央区へと辿り着く。
「なんだ貴様は?」と問われ女の子を奥の方へと隠しながら「どうも、お届け屋の者でして!王様のお荷物をお預かりしております。」
そう言い、イグアはヘコヘコと下手に出る。
(見た所盗賊団の連中やろな……。兵士の服着せたところで、ゴロツキ臭がプンプンやから意味ないぞ。)
「荷物とは一体なんだ?何が入っている?」
「いえ、お客様のお荷物は、基本的に中身を見ないようになっておりまして……。私もなんの荷物が入ってるんか、分からないんですよ。」
「……そうか。」
「ところで、城下町どないしたんですか?やたらめったら静かですけど。」
「なんでもない。いつも通りだ。」
「え~。去年来た時は、栄えたトコでしたやん。1年くらいでこれは変わり過ぎでしょ~。」
「うるさい。それ以上喋ると斬るぞ。」
「うお~怖い怖い」
(なんか嘘とかつかへんのかい。適当になんでも言うたらええやろが。流石盗賊団の下っ端共。アホが多いわ。)
そのまま馬車を近くに停めて、奥に隠れる女の子のフードを深く被らせ、イグアと王様の荷物と一緒に降ろさせる。
イグアは、乗せたまま、隠れさせようとも考えたのだが、そのまま見つかって人質にでも取られたらめんどくさいと考え、仕事の手伝いとして連れて行く事にした。
砂漠のオアシスと呼ばれる名高い砂漠の国の城内は、美しく涼し気な造りとなっていた。
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