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「みんなの前で誓ったし、やっぱり今夜は初夜だな」
「あ、いや、でも」
慌てる僕を見て、高矢が楽しそうに笑った。
帰り道、僕は隣を歩く高矢を見た。
高矢がいなかった2年間を思い出すと、今でも張り裂けそうなくらい胸が苦しくなる。
よく自分の半身を見つけるって言うけど、僕にとっては高矢がそうなんだ。
何をおいても守りたい、かけがえのない人なんだ。
ふと空を見上げると、家々の上に真っ赤な夕陽が浮かんでいた。
「あ、見て。すごく綺麗だよ」
僕は、思わず高矢の腕を掴んで立ち止まった。
「本当だ。綺麗だな」
夕陽に照らされた高矢がすごくかっこよくてドキドキする。
「高矢と見たこの夕陽を、僕は一生忘れないと思う」
「俺も忘れないよ」
ああ、誰もいなければ抱きついてキスしたのに。
少し残念に思いながら形のいい唇を見ていたら、高矢が優しく笑った。
そして、僕の耳に唇を寄せて囁いたんだ。
「家に帰ったら二人きりで結婚式を挙げよう。
もたろん、誓いのキスもしような。
さ、帰ろ」
「うん」
イケメンで、ちょっぴり俺様で、でも、とびきり優しい僕の恋人。
高矢、一生僕の隣にいてね。
《番外編3 おわり》
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