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「ねぇ、聞いてよ。誤解なんだって。
ねぇってば」
声と共に3人の生徒が中庭にやって来た。
すごく怒っているスポーツ刈りの男子生徒が、派手なイケメンの腕を掴んで中庭まで引っ張ってきたみたいだ。
その後を髪を茶色に染めた女子生徒がついてきて、スポーツ刈りの生徒に一生懸命話しかけているが、ことごとく無視されているようだ。
「俺さ、ムサイ男に手を握られる趣味はないんだけど」
ヘラっと笑うイケメンに我慢の限界がきたのか、スポーツ刈りの生徒が「煩い!」と言いながら殴りかかった。
ガッと音がして、顔を殴られたイケメンが地面に倒れる。
「イテッ」
頬を押さえながらもヘラっと笑うイケメンに、更に殴りかかろうとするのを、女子生徒が必死に止めている。
「やめて、違うんだって。
私の言うこと聞いてよ。私は浮気なんてしてないから」
「でも、お前、俺より神崎(かんざき)の方がいいって………」
「だ、か、ら、それは顔の話でしょ。
でも、好きなのは彬(あきら)だけだよ」
「…………」
ピタッと動きを止めた男子生徒の顔が、みるみる赤く染まっていく。
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