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「じゃあ…………」
「誤解だって散々言ってるのに。
第一、神崎君と喋ったこともないのに、浮気なんて出来るはずないでしょ」
彼女の言葉を聞いた途端、スポーツ刈りの生徒は倒れているイケメンの前に土下座した。
「俺の勘違いみたいだ。許してくれ」
イケメンは謝っている姿を冷めた目で眺めると、「うざ」と小さく呟く。
そして、ゆっくり立ち上がると、制服についた泥をはたいた。
「全然とれないや。クリーニング代よろしくね」
殴られたことを一言も責めずに立ち去ろうとするイケメンに、「おい……」とスポーツ刈りの生徒が声をかけた。
「俺を殴れよ」
ぐっと歯を食い縛った生徒ををチラッと見て、イケメンは「ヤダネ。面倒くさい」と言い放ってきびすを返した。
やっと終わった。
ずっと息を詰めていた僕は、思わず「はあっ」と安堵のため息を漏らしてしまったんだ。
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