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「じゃーん」
僕の横に戻ってきた健太は、至極嬉しそうに、片手を腰にあて、小瓶を僕の目の前に突き出した。
子供か…?
そのやたら得意気な仕草が可愛くて、思わず頬が緩む。
「何それ」
メガネを掛けていないせいで小瓶のラベルの文字が読めない。
「柚・子・茶」
いまだ得意気な健太は、言いながら僕の隣に座ると、小瓶の蓋を開ける。
「柚子茶って…これに入ってる?」
グラスを健太の前に差し出すと「そうそう、それー」と言いながら、僕の手からグラスを受け取り、目の前のローテーブルに置いた。
徐に小瓶に人差し指を突っ込んだ健太は、その柚子茶のついた人差し指を僕の口元に差し出す。
「ほら、これが柚子茶。舐めてみ」
言われるままに、おずおずと唇を開くと、そこに柚子茶塗れの健太の指が侵入してきた。
口に入る前に柚子の香りが鼻をつき、腔内に入った途端に甘味が口の中に広がった。
「あまっ」
「でしょ?そんで、こうすると…」
そう言った直後に重ねられた唇と、すぐさま腔内に侵入してくる健太の舌。
健太も柚子茶を舐めていたのか、絡められた舌は更に甘くて…
「んっ…ふ…」
チュピッと音を立てて離れて行った唇を、思わず視線で追ってしまう。
「更に甘ーく感じない?」
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