4. 雨が連れてきた虹

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「ちょっとそのまま待ってて。タオル取ってくるから」  あの日と同じように、瀧川に手を引かれて辿り着いたマンションの一室。  玄関にオレを残して部屋の中に消えた瀧川が、タオルを何枚か持って走って戻ってくる。  瀧川が行き来した道にも水滴は残ってるのに。 「はい、これ」  瀧川は、ぱさ、とオレの頭にタオルを被せてがしがしと拭いてくれる。 「……ホント、お母さんみたいだね」 「……うん、まぁいいや、お母さんでも」  苦笑いでそう呟いた瀧川が、タオルの間からオレを見つめて。 「司、思ったより冷えてるね。シャワー使って、温まりな。その間に着替え持ってくるから」 「え、いいよそんなの」 「いいから。また風邪引いちゃうよ」 「でも、瀧川だって濡れてるんだし」 「オレは後で大丈夫」  な? と笑った瀧川が、強引に腕を引くから。  わたわたと靴を脱いで、手を引かれるまま浴室へ。 「濡れた服は、とりあえず洗濯機に入れといていいよ」 「ぁ、うん……」 「着替え、ちゃんと準備しとくから」 「うん……」 「ちゃんと温まってから出ておいでよ」 「……うん」  相変わらずお母さんみたいな小言を沢山並べて、瀧川は忙しそうに浴室を出て行く。  ありがたさと申し訳なさを持て余しながら、濡れて脱ぎにくい服に手をかけた。  *****
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