7. はじまりの予感

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 あの日、瀧川が泣きながら教えてくれた章悟の気持ちが、少しずつオレに、前を向く勇気と前に進む力をくれた。  ずっと自分のことしか考えてなかったオレに、去ることしか出来なかった章悟の苦しさと悔しさを教えてくれた。  オレはオレのことしか見えてなかったんだと、随分遠回りしてようやく気付いて。  見上げた空は、いつもよりも高くて、眩しくて。真っ青に透き通って、輝いていた。 「…………────あぁ……空って、こんな高かったんだ……」  どうりで届かないはずだよ、なんて。やっと気付いたみたいに、呆然と呟いたオレの。  目から勝手に零れた涙を。  何も言わずに拭ってくれた瀧川は、力なく下ろしたオレの手をそっと取った後に力強く握ってくれた。 「ごめんね、司」 「何が?」 「オレ、待つって言ったり、待てないって言ったり……」  格好悪い、なんて吐き捨てて落ち込んだ瀧川は。  それでもオレを、真っ直ぐに見つめてくれた。 「待てないのも、本当なんだけど……でも、やっぱり、ちゃんと待てるから。……そんで──オレは、ちゃんと、ここにいるから」 「ここ、に?」 「司の、傍に」 「ぁ……」 「どこにも行かない。──少なくとも、司が。独りで淋しがってる間は、今みたいにちゃんと、ここにいるから」  そっと笑った瀧川が、なかなか止まらなかったオレの涙をもう一度拭ってくれて。
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