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「だから、司」
「うん?」
「もう、独りで泣かないで。いつでも、オレのこと呼んで」
「呼ぶ……?」
「そう。オレのこと、呼んでくれたら、飛んでくるから。……いっぱい泣いていいから。我慢なんてしないで、ちゃんと泣いて。──だけど、独りではもう、泣かないで」
「……どして?」
「心配だから」
キッパリとそう言った瀧川が。
くしゃっと笑って、なでなで、なんて。効果音付きでオレの手を握ってるのと逆の手で、オレの頭を撫でてくれる。
「泣いていいんだよ、司。オレがちゃんと、傍にいるから」
「ぁ……」
「司が今まで泣けなかったのは、きっと、誰も傍にいなかったからだよ」
「……そば、に……」
「独りで泣くのは、しんどいもんね」
よしよし、とオレの頭を撫でた瀧川が、ちっちゃい子供に言い聞かせるみたいな柔らかい口調で、もう大丈夫だよ、なんて笑ってくれた。
「…………瀧川って、ホント……」
「お母さんみたいだって?」
「お人好しだね」
「…………そうかもね」
優しすぎて困る、なんて泣きながら笑って見せたら。
照れ臭そうな顔した瀧川が、にこりと笑って。
「オレが、司の傍にいたいと思ってるだけだよ。…………オレは、どうしたって、司のことが好きだから」
忘れないでね、と付け足した瀧川が、ぽふぽふとオレの頭を撫でるみたいに軽く叩いてくれた。
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