7. はじまりの予感

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「だから、司」 「うん?」 「もう、独りで泣かないで。いつでも、オレのこと呼んで」 「呼ぶ……?」 「そう。オレのこと、呼んでくれたら、飛んでくるから。……いっぱい泣いていいから。我慢なんてしないで、ちゃんと泣いて。──だけど、独りではもう、泣かないで」 「……どして?」 「心配だから」  キッパリとそう言った瀧川が。  くしゃっと笑って、なでなで、なんて。効果音付きでオレの手を握ってるのと逆の手で、オレの頭を撫でてくれる。 「泣いていいんだよ、司。オレがちゃんと、傍にいるから」 「ぁ……」 「司が今まで泣けなかったのは、きっと、誰も傍にいなかったからだよ」 「……そば、に……」 「独りで泣くのは、しんどいもんね」  よしよし、とオレの頭を撫でた瀧川が、ちっちゃい子供に言い聞かせるみたいな柔らかい口調で、もう大丈夫だよ、なんて笑ってくれた。 「…………瀧川って、ホント……」 「お母さんみたいだって?」 「お人好しだね」 「…………そうかもね」  優しすぎて困る、なんて泣きながら笑って見せたら。  照れ臭そうな顔した瀧川が、にこりと笑って。 「オレが、司の傍にいたいと思ってるだけだよ。…………オレは、どうしたって、司のことが好きだから」  忘れないでね、と付け足した瀧川が、ぽふぽふとオレの頭を撫でるみたいに軽く叩いてくれた。  *****
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