7. はじまりの予感

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 歩み寄ってくる姿を見つけて、ホッとするのはどうしてなんだろうと。  深く考え込むより先に、瀧川は当たり前の顔でオレの隣に座るから。  ──だから、いつも解らなくなる。  好きだからホッとするのか。  独りじゃなくなったことにホッとするのか。  自分はなんでこんなにも、瀧川の傍で安心出来るのか。  好きだからだよと、誰かが言い切ってくれたらいいのにと思いながら、やっと傍にいてくれる人が出来て依存してるだけなんじゃないかなんて、疑い始めるとキリがなくて。  人見知りの激しい自分にとって、こんな風に深く関わってくれる人はなかなかいないせいもあって、関係性がよく分からずに。自分の気持ちを、正直なところ持て余していた。 「司? どした?」 「ぇっ?」 「難しい顔して……なんかあった?」 「…………ううん」  心配そうな顔に覗き込まれてドキリとしたのは、好きだからなのか、驚いたからなのか、どっちなんだろう。  そんなことすら分からなくて、溜め息を一つ。  そしたら瀧川は、やっぱり心配そうな顔でオレを見つめて。 「ホントに大丈夫?」  心配してくれる声が優しくて、どうしたらいいのか分からずに混乱したままの心が。 「──いいのかな」 「へ?」  頭の中を整理しきらないままに、そんな風に呟いてしまう。  キョトンとした瀧川は、オレの言葉を待っているようで。  何度も躊躇った後に、それでも辛抱強く待っていてくれる瀧川を見つめる。
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