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「…………瀧川は、いいの?」
「何が?」
「……ずっと、こんな……オレの……。……オレなんかと、一緒にいて、いいの?」
混乱したままの心でそう聞いたら、瀧川は──心底傷ついたみたいな顔をした。
「…………迷惑?」
「ちがっ……」
そうじゃなくて、と首を緩く振りながら声を絞り出したら、ふっと笑った瀧川が、司、とオレを優しく呼んでくれる。
「忘れてるかもしれないから、もう一回言っとくけど。オレは、司が好きだから、司の傍にいるんだよ」
「……」
「勿論、恋愛的な意味でも好きだけど──友達としても、司のこと好きだから。……大事な人が、独りで淋しがってるんだから、傍にいるのなんて当たり前だよ」
優しく笑う顔に、ドギマギして。
そっか、とだけ呟いたら、なんだかいたたまれなくなってそっと視線を逸らした。
こんなにも真っ直ぐに好きだなんて言われたら、自分が相手をどう想ってるかなんて関係なしに照れるに決まってる。
そう思うくらい本当に真っ直ぐにオレを見つめてそう言った瀧川の、愛しさを隠さない優しい目が、オレの心臓の動きを速くする。
「焦ったり、急いだりしなくていいよ。今までずっと、色んなこと独りで我慢してきたんだから。ちょっとゆっくりしたらいいんだよ。オレのこと考えるのなんて、その後で大丈夫」
にこりと笑ってくれる瀧川の。
その言葉が嬉しいような、じれったいような複雑な気分になって。
うん、と曖昧に頷きながらも、「じれったい」だなんて思った理由に、本当は自分も気付いているのに見ないフリしてるみたいな、罪悪感。
どうしたらいいんだろうと、どうしたいんだろうの間で揺れながら。
今はまだ、その優しさに甘えていたいような気もして。
情けなさが少しだけ、悔しい気がした。
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