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「司?」
「──すき」
「へ?」
「瀧川のこと……オレ……やっぱり、ちゃんと、好き」
「つかさ……」
驚きに目を見張る瀧川の顔が涙で滲んでいたけれど、構わずに瀧川をじっと見つめた。
「訳分かんないし、……ホントに……決着とか……ついたのかどうか、分かんないけど……でも……もう……分かんないくらい、好き」
「つか」
「瀧川のこと、好き」
ぱたぱたと。
零れる涙が止まらないのは、どうしてなんだろう。
目の前で驚く瀧川が愛しくて。
胸を満たすその愛しさが、涙になって溢れているのかもしれない。
「…………ホン、トに……?」
「……うん」
「後悔とか、しない?」
「うん」
「ホントに?」
戸惑って震える声に、もう一度しっかり頷いてみせて。
「ホントに。瀧川のこと、好き」
「つかさ」
戸惑っていた瀧川の顔に、喜びが弾けて。
飼い主にじゃれつく大型犬みたいに、無邪気で純粋で真っ直ぐにオレに飛びついてくる瀧川を、よろめきながら受け止めて。
「大好きだよ、瀧川」
笑って紡いだ台詞に、無邪気に頷いて。
見たことないくらいに幸せそうに笑う瀧川の顔を、やっぱり愛しいと思った。
本当はずっと、気付いていたんだと思う。
瀧川に触れたいと思ったことだって、前から何度もあったし。
何よりも、瀧川の隣は穏やかで居心地が良くて安心出来た。
心からくつろいだ気持ちになったのなんて、どのくらいぶりだろう。
罪悪感のような、後ろめたさのような──そういう気持ちが、完全になくなった訳ではないような気もするけれど。
それを拭い去るほどに強い愛しさが、この胸に確かにあるから。
あの時みたいに流されて沸き上がったのとは違う、ゆっくりと心を満たしていく「好き」の気持ちを、大事に大切にしたいと心から思う。
柔らかく自分を包んでくれるこの幸せを、同じだけの優しさで包みたいと思うから。
無邪気に照れ笑う瀧川の頬に電光石火のキスを贈って、驚きにぴたりと固まる瀧川に、きっと恥ずかしさで真っ赤になっているであろう顔のまま、笑って見せた。
「大好きだよ、瀧川」
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