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「…………今日…………行きたいとこ、……あって……」
「うん?」
「いっしょ、に……行ってくれる?」
「そりゃもちろんいいけど。……どこに行きたいの?」
「──────章悟の、とこ……」
「……」
固い声で呟いた司が、今にも泣き出しそうに潤んだ目を見開いて涙を堪えている。
「…………今日…………命日、だって……気付いたんだ、今朝」
「めい、にち……」
「……ずっと……考えないようにしてたんだけど……。……今朝、急に……思い出して」
段々小さくなる声は、微かに震えて今にも消えてしまいそうで。
だけど、突然突き付けられた「命日」なんて重い言葉に、オレ自身も真綿で包まれたみたいに息苦しくなる。
目の前の司はもっと苦しいんだろうなと思ったら、掠れた声で聞き返していた。
「…………どこに、行くの?」
「…………とりあえず、事故が、あったとこに……行こうと、思って……」
「…………それ、オレも……行っていいの?」
「うん」
こっくりと頷いた司は。
オレの服の裾を、きゅっと不安そうに掴む。その仕草は、まるで迷子の子供みたいに幼くて頼りない。
「一人、で……行く勇気…………なくて……」
「司……」
「一人で、行ったら……また、そこから……動けなくなるかもしんないって………………恐くて。…………こんなん、瀧川に頼むことじゃないって、分かってるんだけど……。でも……他に、頼める人、いなくて……」
情けなくてごめん、と項垂れた司の頭を、なんとか動揺から立ち直ってぽふぽふと撫でる。
「分かった。──一緒に、行こう」
「…………ありがと」
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