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そんなあの長屋に、 1週間くらい前だろうか、 突然「なんでも屋」ができた。 というかいつできたのかまったくわからない。 駅とは反対側にあるその店を、 ふいにいつもとは違う本屋に行こうとして、 自転車で前を通ったとき、気が付いた。  「こんな店あったっけ?」 それが第一印象だった。 ずっと閉められていた長屋の引き戸が全開になっていて、 まるで駄菓子屋のように所狭しと商品が置かれている。 しかもその商品がなんだか変わっていた。 一見、ただ古臭いものというだけなのに、 下にある不似合いに新しいプラスチックのプレートに書かれた商品名が、 とても変わっていた。  たとえば  「過去と話せるテレホンカード」  「空腹を抑える胃薬(錠剤)」  「明日の天気を予測できる下駄」  「絶対に勝てるべいごま」 まるでドラえもんのひみつ道具のような商品名に、 ぼくは一瞬あっけに取られた。 リアリティはないけれど、 どんな商品なのかは気になる。 でもその日は漫画の続きが気になって、 そのまま自転車を本屋へと走らせてしまった。
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